バレエは自分の身体を使って表現する芸術と言われています
バレエの本場のヨーロッパと日本では、バレエという芸術の文化としての考え方の違いがあるように思われます。
バレエの歴史や文化を学ぶ事がバレエの表現力や取り組み方に差が出てしまいます
ここでは、バレエの歴史やヨーロッパでのバレエの文化を知ってみましょう。
バレエの起源
15世紀、ルネッサンス期のイタリアの貴族の宮廷舞踊がバレエの原型といわれています。まだ、バレリーナという職業はなく、貴族達が舞踏会などで踊るステップも今とは全然違うものだったそうです。
この時代のイタリアの華麗なる一族、メディチ家の娘カトリーヌが、16世紀半ば、後のフランスの王アンリ二世のもとへ嫁ぎます。
そこでバレエを始め、イタリアの様々な文化(音楽、料理、テーブルマナー等)がフランス宮廷に持ち込まれました。その結果、フランスにおけるあらゆる芸術の水準が上がったのです。
こうしてフランス宮廷でバレエが盛んになり、「太陽王」といわれたルイ14世は自らもバレエを踊り、1661年王立アカデミー(現在のパリオペラ座バレエ学校)を創設。まもなく建築されたガルニエ宮を舞台に数々のバレエが演じられました。その後、職業舞踏家(バレエダンサー)たちが生まれます。この頃から物語のあるバレエ、「バレエ・ダクシオン」の時代が到来します。
ヨーロッパのバレエ文化
芸術をこよなく愛するヨーロッパやロシアなどの芸術大国では、芸術というものが一つの文化として根付いています
専門家の方達は勿論、多くの一般の方達でさえ常識となっている事なのですが、芸術大国と言われる国々では、肉体を表現のツールとする全ての芸術(オペラ・演劇・新体操・フィギュアスケート・等々)の基礎には、必ずクラシックバレエの本格的な基礎を一番最初に身に付けさせます。
それは、どの様な分野でも"肉体を使う洗練された芸術"という事が共通してあげられるからです。
その為、「クラシックバレエの基礎」というものが必然的にそれぞれの競技を行うには不可欠になるからです。
ヨーロッパでは身体で芸術を表現する競技を行う上で、無駄がない様に最初から基礎の一部としてバレエを取り入れるというシステム文化は作ったと言われています。
そしてこの基盤により、ヨーロッパでは世界的な規模で洗練された格式の高い芸術を生み出す「芸術大国」と言われるようになりました。
これは「芸術」というものを極めて来た長い歴史と経験から、バレエの専門家ではなくても「クラシックバレエ」という芸術を深く理解し、敬意を持っているという事でもあります。
日本における多いバレエの捉え方
一方、芸術に疎い方が多い今の日本では、バレエはバレエの習い事。新体操は新体操と、それぞれ独立している事が多いのが現状です。
子どもの習い事という範疇でしかみられない事が多く、芸術の文化として見る人が少ないのが現状です。
その為、バレエの真似事になってしまうバレエ団が多いのが現状と言われています。
「バレエ団」やバレエアカデミーと名のつく団体が世界一多い国と言われているのが、実は日本です。
芸術としてのバレエを捉える
このように歴史、文化の違いを見てもヨーロッパと日本のバレエの違いが分かります。
ヨーロッパの考え方でのプロフェッショナルとして「人に見せる為の芸術」というものに携わる人間には、その表現のツールとしての身体を洗練させる為に、絶対に必要不可欠なものがバレエという考えです。
人間の姿や所作が一番美しくカッコ良く見える時は、必ずバレエ的な型や姿勢や動きになっているという事です
長い年月をかけて洗練され続け、一切無駄なものが削ぎ落とされ、完璧に磨き上げられ完成された芸術であるクラシックバレエの基礎(メソッド)は、それが芸術として本物であるからこそ、こうして古典芸術として長年人々に愛され続け、受け継がれる存在に成っています。
どの様なものでもそうですが、何か肉体を使って本物と言われるものを習得するまでには、人間は長い長い時間を掛けて鍛錬・修練・精進致します。
正しいバレエを学ぶには正しい身体の知識や、仕組みを知ることも重要です。
次回からは身体の基本的な構造も交えたお話をして行きます。